転記ミスと「不公平かも」を減らしたい。個人店がChatGPTでシフトを組む現在地

飲食店店長がノートパソコンでシフト表を確認しながらAIに相談する様子 AI活用

シフト作成は、店長にとって毎月必ず戻ってくる仕事です。小さな店では、従業員からLINEで希望を集め、紙や表へ書き写し、足りない時間帯を見ながら一人ずつ割り振ることも少なくありません。

私の店でも、以前はPCが得意ではない人が紙で管理していました。LINEで届いた希望を表へ書き起こし、希望の日付と時間を確認して、実際のシフト表へ配置していく。その作業をアルバイトに頼むこともありましたが、時間はかかります。転記ミスや希望の見落としも起きました。

しかも、こちらは公平に組んでいるつもりでも、見る人によっては「自分だけ少ないのでは」と感じることがあります。希望の出し間違いや修正依頼が来れば、表を作り直すことも頻繁でした。

そこで今は、ChatGPTに相談しながら、店のルールに沿ったシフト候補を作る取り組みをしています。これは「AIに全部を任せれば解決する」という話ではありません。むしろ、自分の店のルールを言葉にし、人が最終判断をするための土台を作る取り組みです。

結論|最初は「シフトを作って」ではなく「困っている作業を相談する」

AIを使うと聞くと、完成したシフト表を一度で出してもらうイメージがあるかもしれません。でも個人店のシフトには、店ごとの事情があります。

  • 何人必要か
  • 誰がいつ働けるか
  • 週の勤務上限はどうするか
  • 深夜や土日など、負担が偏りやすい時間帯をどう考えるか
  • 追加希望が来たとき、どこまで既存の表を変えるか

これを最初から完璧に伝えるのは難しいものです。だから私は、まずAIに「この作業をどう整理すればいいか」と相談するところから始めるのがよいと思います。

たとえば「LINEで届く希望を、あとで確認しやすい形にしたい」「希望外への配置を防ぎたい」「修正があっても関係ない日の配置は変えたくない」と伝えます。AIに答えを丸投げするのではなく、店の困りごとを一緒に整理してもらう使い方です。

OpenAIも、ChatGPTへの依頼は目的と背景を具体的に伝え、最初の回答を見ながら調整していくことを勧めています。シフトのように条件が多い仕事ほど、この進め方が合います。 OpenAI Help Center:Prompt engineering best practices for ChatGPT

紙とLINEだけで管理すると、作業が増えやすい

紙での管理そのものが悪いわけではありません。すぐに始められますし、手元で見やすい店もあります。

ただ、LINEで希望が届き、それを別の表へ転記し、さらにシフト表へ配置する流れでは、同じ情報を何度も見直すことになります。希望時間の読み違い、書き忘れ、修正漏れが起きやすくなります。

私の店でも、希望の見落としや希望の出し間違いがあり、そのたびに表を作り直していました。作成する人が変われば、判断の基準も見えにくくなります。「なぜこの配置になったのか」を説明しにくい状態は、作る側にも受け取る側にも負担です。

AIに相談することで、いきなりすべてがなくなるわけではありません。それでも、希望を整理する、条件に合わない候補を見つける、確認が必要な点を一覧にする、といった作業を分けて考えやすくなります。

まずAIに相談したい4つのこと

1. 希望をどう整理すればよいか

LINEの希望は、人によって書き方が違います。「火曜は夕方から」「金曜はラストまで」のような表現もあります。最初にAIへ相談するなら、希望をどんな項目で表にすれば確認しやすいかを聞くのがおすすめです。

店名、スタッフの本名、連絡先などの不要な個人情報は入れず、仮名やスタッフIDに置き換えます。そのうえで、日付、希望開始・終了時刻、勤務不可日、週の上限、確認が必要な記載を分ける形を考えます。

2. 自店のルールをどう言葉にするか

公平にしたいと思っていても、「公平」の中身は店によって違います。単純に勤務回数をそろえることだけが公平とは限りません。

必要な時間帯に入れる人、本人が出した上限、土日だけ働ける人、継続して協力してくれている人など、店として大切にしたい条件を書き出します。条件が曖昧なままだと、AIの出力も人の判断もぶれやすくなります。

AIには、こうした条件を箇条書きで渡し、「優先順位に矛盾がないか」「確認が必要な条件はどれか」と相談できます。ルールを一度に完成させる必要はありません。使いながら足していけば大丈夫です。

3. 修正が来たとき、何を変えないか

シフト作成で大事なのは、新しく組むことだけではありません。追加希望や欠勤の連絡が来たときに、関係ない日の配置まで変わってしまうと、また説明と確認が必要になります。

私が最初に試した方法では、新しい表を作るたびに表そのものが崩れたり、すでに入っていた人が別の場所へ変わっていたりしました。これでは、修正を頼むほど不安が増えます。

そこで今は、「既存の配置は原則維持する」「追加希望に関係する日だけを直す」「変更前後を比べる」といったルールを決めて扱っています。AIへ修正を頼むときも、この条件を最初に渡すことが重要です。

4. 完成前に何を確認するか

AIが候補を出したら、最後は人が確認します。少なくとも次の点は、店の責任者が見るようにしています。

  • 希望していない日時に入っていないか
  • 週や月の勤務上限を超えていないか
  • 同じ人が重複して配置されていないか
  • 必要な時間帯の人数が足りているか
  • 修正に関係ない配置まで変わっていないか
  • 判断できない希望を、勝手に決めていないか

AIに検算を頼むことはできますが、最終的な採用判断と確定まで任せるものではありません。スタッフとの約束、店の運営、法令に関わる部分は、責任者が確認します。

実際に安定したのは、「店のルール」を積み重ねてから

私の場合、最初はChatGPTのワーク機能で試しました。しかし、新しい表を作るたびに配置が変わったり、表そのものが崩れたりして、安定して使うことができませんでした。

その後、Codexで仕組みを作り直し、今は希望外へ配置されることや、修正箇所以外の表が崩れることがなくなりました。もちろん、これは私の店のルールに合わせた現在の状態です。他の店で同じ手順がそのまま使えるとは限りません。

ただ、この経験から感じたのは、AIを使う前に完璧なルールを持っている必要はない、ということです。むしろAIに相談しながら「うちの店では、これは変えてはいけない」「この場合は確認に回す」と言葉にしていくうちに、ルールがはっきりしてきました。

シフト以外の仕事も、まずはAIに相談してみる

この考え方は、シフト作成だけに限りません。店には、求人文、SNS投稿、仕込みの段取り、チェックリスト、引き継ぎメモなど、「頭の中にはあるけれど、言葉や表にするのが大変」な仕事があります。

何でもAI任せにする必要はありません。でも「この仕事はどう整理すればいいだろう」「確認漏れを減らすには何を決めればいいだろう」とAIに聞いてみる価値はあります。

最初の答えが店に合わなければ、「うちではこの条件がある」「この部分は変えないでほしい」と追加で伝えます。AIは一回で正解を出す魔法の道具というより、店の仕事を一緒に整理する相談相手として使う方が、個人店には現実的だと感じています。

まとめ|自分の店に合うルールを、AIと一緒に作っていく

紙とLINEでのシフト作成は、希望を集めて終わりではありません。転記、配置、修正、説明、確認まで、細かな作業が積み重なります。

私の店では、ChatGPTとCodexを使いながら、希望外への配置や、修正時に関係ない表まで崩れてしまう問題を減らせるようになりました。まだ完全自動化ではありませんし、最終判断は責任者が行います。

それでも、AIに相談することで、店独自のルールを少しずつ言葉にし、確認しやすい形へ近づけることができました。まずは、自分の店でいちばん面倒な作業を一つ選び、「どう整理すればいい?」とAIに聞いてみてください。そこから、その店に合った仕組みを作っていけるはずです。

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